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ウルトラマンマックス
小中千昭脚本作品について

このコンテンツは小中千昭が個人的に設置したものです。
作品の著作権は円谷プロ 中部日本放送にあります。

2006/03/25設置

†27話「奪われたマックススパーク」

監督・特技監督:八木 毅  PDF版シナリオ

2005/12/30
いよいよ明日31日朝、ウルトラマンマックス「奪われたマックススパーク」の放送です。
シリーズ立ち上げの時に、八木プロデューサーから相談を受けて多少のアドバイスはしていたものの、実際に脚本を提供出来るかはスケジュール次第だったんですが、「ミラーマン REFLEX」が何とかオンタイムで上げられたので、タイミング良く参加可能に。プロット段階では村石宏實監督が撮るというケースも想定されていたんですが、村石さんには「怪獣は何故現れるのか」を撮って戴き、こちらは八木監督が撮る事になった次第。ピット星人は、アクションが出来る人をと希望していて、村石監督から、セイザー・ヴェルソーを演じていた星野マヤさんを推薦して貰ったのでした。もう一人は「ヴァニーナイツ」の益子梨恵さん。この二人の、21世紀版ピット星人に御期待下さい。
さて、八木毅監督とは「ウルトラマンガイア/ガイアよ再び」以来の取り組み。オンエアが楽しみでなりません。

2006/01/01
ウルトラマンマックス「奪われたマックススパーク」は如何でしたか。感想をお聞かせ下さい。

当初、私は二本だけの参加予定で、一本は好きに書かせて貰う代わりに、もう一本は怪獣は再登場で、ストレートな話にするという申し合わせでした。そう言えばティガ以降、主人公が変身アイテムを奪われる話ってあんまり無いなぁと思い、サブタイトルを先ず考え、そこからストーリーを作っていったんですが、後で思い返すと、何だよ自分でティガの時(「地の鮫」)に書いてたじゃないかと(笑)。
八木毅監督は、実にいい形で円谷ドラマのスタイルを継承しているなぁと、敬服しましたね。特撮も、ビデオ収録になったハンデを越えて、パワフルな格闘戦を見せてくれ、CG/デジタル処理と本篇の極めて心地よい連携は、明らかにガイアの頃から進化したウルトラ特撮になっていると実感しました。スタッフ・キャストの皆さんには感謝しています。

2006/01/06
八木毅監督と会ったので、「奪われたマックススパーク」についてあれこれ聞いてきました。
瞠目するカットの連続だったこの回で、どれか一つと言われれば私は、ミズキがバイクで走る頭上に飛来するバード3というカットを挙げます。が、このカット、普通はこういうのを撮るにはグリーンバックで撮らねば合成が出来ない訳ですが、明らかにミズキとバイクはロケ地にあって、走っている(実際は牽引ですが)。その臨場感を生かしつつ3Dのバード3を如何に合成するかとなれば、1フレーム毎にミズキの輪郭マスクを作成しなくてはなりません。マックスのCG/デジタル・チームはその労を厭わなかった訳です。不可視状態のピット円盤の表現、ミニチュアビル群のセットを広大に見せたマット画と、見事なカットは枚挙の暇も無い程でした。
毎週毎週、怒濤のカット数をこなしている中で、CGIスーパバイザーの鹿角さんの指揮の許、こうしたショットを産み出す現場の勢いが、作品の持つ熱気に結実しているのだなぁと感服しました。
マックスが最後にエレキングに放った分裂マクシウム・ソードは、企画当初から八木プロデューサーが設定していたもので、確かに講談社の「ひみつ超百科」には“マクシウムソード分身シュート”という名称でイラストが載ってました。これまでどの監督も使わなかっただけという事らしいです。
幼体エレキングは、木原浩勝氏も開発に参加されていたゲーム「ウルトラマンFER」のテレビCMに登場していた、スネーク・エレキングが私には非常に印象的で、ああいうイメージにして貰いました。

†29話「怪獣は何故現れるのか」

監督・特技監督:村石宏實  PDF版シナリオ

2005/12/28
「てれびくん」に、来年1月放送のウルトラマンマックス「怪獣は何故現れるのか」に登場するゲロンガの写真が載っていました。あああ怪獣らしい怪獣だぁ……。
実はこのエピソード、私の最初の構想ではパゴスを登場させようと目論見で作ったプロットだったのですが、そのパゴスが登場したウルトラQ「虹の卵」を書かれた、山田正弘さんがお亡くなりなり、きちんと了解を得ずままパゴスを登場させるのは良くないと判断し、さとうけいいち氏に「バラゴン・ボディでオリジナルの怪獣を」とデザインしてもらった怪獣です。このエピソード、色々挿話や思うところもあるんですが、先ずはオンエアを観て戴いてから。
何より、大晦日の「奪われたマックススパーク」をお楽しみに。

2006/01/13
とか言ってる内に「ウルトラマンマックス/怪獣は何故現れるのか」のオンエアが迫ってます。
既に雑誌等で情報が出ている通り、今回は「ウルトラQ」へのオマージュを捧げる内容です。マックスでの私の役割は、八木プロデューサーの意を受け、各話のヴァラエティを身上とするこのシリーズに於ける、必要最小限の縦筋的な要素をサポート/フォローアップするという、非常に機能的なものです。しかしこのエピソードだけは、大枠はマックスらしさを維持しながら、個人的な欲望を込めています。「ウルトラQ dark fantasy 」でやりたくとも許されなかった、ウルトラQ的怪獣(人間対怪獣の構図)を登場させるというのがそれです。オリジナルのウルトラQ「SOS富士山」が、私が思うウルトラQ怪獣の一つの典型でしょう。野生児タケルとゴルゴスの対決には、実に心躍らされたものでした。
勿論、今回はあくまでマックスの1エピソード。原典を知らない子ども達にも愉しんで貰えるものにはしていますので、お願いだからやらせてねというか、どうしても私自身が見たいマックスにしました。
監督は、ウルトラマンガイアの最終回以来の再会となる村石宏實さん。どんな映像に仕上がっているのか、私が誰よりも楽しみにしているかもしれません。

2006/01/15
プロットを考えている時に限らず、外を歩いている時私は、「ここに怪獣が現れたらどんな絵(画面)になるだろう」という夢想をよくしています。そういう人生です。
このところ代々木公園近くの会社に別件で毎週打合せで通っていて、井の頭通りと山手通りの交差点の複雑な歩道橋から首都高トンネルの工事現場を見ていたのでした。

40も半ばになった自分が、子どもの時から変わらずに好きだったウルトラの世界。それに携わる事が出来た幸せ。それに対する感謝の気持ちというのが、今回のマックスに書いた事だったのでしょう。

セブンの頃、円谷の現場に既に居られた村石宏實監督、そして劇中監督役で出演してくださった満田かずほさんが、私など知り得ぬ、当時のウルトラの現場の空気を、まるで魔法の様に現出してくださった。
私はこれからもずっと、一人のマニアです。言わばマニアが書いた“ファンレター”を、本物のウルトラにしてくれたという事に、ひたすら感謝と感激をしています。

言うまでもありませんが、今回の物語は、佐原健二さんが書かれた、「素晴らしき特撮人生」の内容に、その多くをインスパイアされて書いたものです。
西条康彦さんと共に実際に出演してくださった事も併せて、心から感謝している次第です。


劇中カメラマン役は、90年代ウルトラマン、ネクサスをずっと撮ってこられたキャメラマン・倉持武弘さんが演じられていました。劇中に登場した巨大なミッチェル(35mmキャメラ)は、円谷プロのものだそうです。
マタギの役は、村石監督が嬉々として……(尺の都合で決定稿からは削っていた役なんですが、村石監督の希望で残ったシーン。何で残したかやっと判った……(笑))。

ゲロンガのデザインは、さとうけいいち氏(クレジット入ってなかった……)。
かつて円谷プロは、東宝からバラゴンの着ぐるみを借りて、パゴス、ネロンガ、ガボラ、マグラが生まれました。その故事に倣い、バラゴン・ボディで、新しくも懐かしい円谷怪獣をと希望をし、さとう氏によって誕生されたのがゲロンガです。開米プロによる造形、スーツアクターの方の演技あって、ああもう何と愛しい怪獣になった事か。

音楽も、オリジナルのテイストを醸し出す新曲が作られた様です。

トンネル内のゲロンガの合成、まるでスクリーンプロセスみたいに平面な構図だったのにも感激。ああこうだよなぁ、ウルトラは……。

とりとめ無いんでこの辺で。


2006/01/16
ウルトラマンマックス「怪獣は何故現れるのか」について、もう若干のフォローを。
テレビ討論会に出席していた、“怪獣災害評論家・上田耕生”氏は、ウルトラマンティガ「怪獣が出てきた日」に登場させたキャラクターです。俳優は村石組には欠かせない赤星昇一郎さんに代わっていますが。
これはまあ、遊びと言えばそうなんですが、私個人的に今回のエピソードは、「怪獣が出てきた日」がちょっとだけオーヴァーラップしつつ書いたという理由もあります。シーリザーのエピソードでは、決定稿からオミットした部分があって、先の大戦中、太平洋で生前のシーリザーと遭遇し、砲撃したという海軍軍人のくだりがあったんです。尺の理由からだったか、川崎郷太監督が要らないと言ったのか、もう忘却の彼方なんですが、割愛したという。
今回のレトロ・カフェ・オーナー“西郷康彦”氏が、ゲロンガと再会した時のアンビバレンツな感情をシナリオに書いた時、「あ、これってシーリザーで――」と思いだして、サブタイトルを似た感触のものにしたのでした。
放送局が、場所から言ってどう見ても某公共放送なんですが、まんまはマズいという判断からか、KCBというガイアで登場したものになっていましたが、これは監督かスタッフの着想です。
同様に、欠けた太ゴチの「終」エンドマークもシナリオには無かったもので、しかしこれがあると無いでは本作の読後感は相当違った筈で、よくぞやって下さったと感謝しています。

「ウルトラQ」を知らない若い人にも楽しんで貰えた様で、安堵しています。オリジナルを知らなくても楽しんで貰えるべく腐心したのが酬われた気がします。
これを機会に、レンタルビデオやDVD等で、元の「ウルトラQ」を観て貰えたら、それが一番私には嬉しい事です。

※ゲロンガのデザインは、さとうけいいち氏で、クレジット表記の誤りです。
 各話スタッフリストを作成しておられる方は訂正をお願いします。

†30話「勇気を胸に」

監督・特技監督:高野敏幸  PDF版シナリオ

2006/01/22
「ウルトラマンマックス/勇気を胸に」は如何でしたか。是非感想をお聞かせ下さい。
本篇特撮を兼ねた高野演出、実写とミニチュアのカットバックによるダッシュアルファ疾走シーンが凄い迫力でした。果たしてラゴラスが「怖い怪獣」に見えるのか否かが、今回のシナリオの成否にかかっていた訳で、こればっかりはいくらト書きで書いたところで脚本というのは無力なものです。「進化」した事が極めて判りやすいデザインと造形、演技、そしてそれを映像に定着させる撮影、照明、ポスプロ、音響――、そしてその演出あって、ラゴラスエヴォという個性ある怪獣を登場させる事が出来た訳です。
立て続けに私の脚本作が三作放送されましたが、一ヶ月程の間に集中して掛かることが出来て、内容に関してはかなり自由に書け、三人の監督それぞれに持ち味を出して良い作品に仕上げて戴けて、嬉しい限りです。
これからのマックスにどうぞ御期待下さい。