山木満雄

いずれタカトたちは、この世界(リアル・ワールド、もしくはデジタル・ワールド、或いはその双方)を脅かす存在に立ち向かっていく――。
その時、大人はどうしているだろう。
山木を一話から登場させた意図は、タカト達と共に危機に立ち向かう、大人の代表という役割をいずれ担わせる存在を、早めにドラマに絡ませたかったからでした。最初はタカト達に敵対する“嫌な大人”として現れます。
存在としてのイメージで言うと、往年のNHK少年ドラマシリーズの、どの作品かは忘れたのですが、石橋蓮司さんが演じられたトレンチ・コートの男が、私の中のモデルとしてあった様です。
物語が始まった当初は、子ども達に視点を固定したかったので、顔は出さずに声と体の一部だけ見せるという形で現れます。何かアクセントが欲しいと思い、ジッポー・ライターの蓋を神経質に開け閉めするという癖をつけました。この金属音がするイコン、顔を見せない――という在り方が、映画『E.T.』のキャラクターに似ている、というのは、後で気づいた事でした(私はあまり、あの映画は好きではないのですが)。

シナリオでは、初めてサングラスを外すのは24話、タカト達を見送る時に想定していました。この時の、微妙な表情は中鶴勝祥さんが描いてくれていたのを後で聞いて、大変感謝したのでした。
千葉進歩さんの演技は、こうした若く自信に溢れた青年の強さと脆さを、実に的確に表現してくれていました。