テリアモン

2000年夏のアドベンチャーの映画で誕生したテリアモン(映画内では、幼年期の名前“グミモン”の名前で一貫して呼ばれていましたが)を、三年目のシリーズにレギュラーで登場させるという事も、私が入る前に決まっていた事でした。
当然ながら、私は吉田玲子さんが描かれたテリアモンのイメージを遵守して、描いていたつもりだったのですが、初登場の2話からして、既にやや独自なキャラクターになっていた様です。
何故そうなったのか、と思い返すと、理由がありました。
本篇のアフレコが始まるずっと前に、玩具の為の短い台詞録音というのが行われ、立ち会ったのです。この時の、クルモンの金田朋子さんと、テリアモンの多田葵さんによるそれぞれのキャラの声を聞いた時の衝撃は、かなり大きかったのですが、それは本篇を御覧頂いていた方なら、頷かれる事でしょう。
テリアモンの「プチツイスター」という技を叫んで貰ったのですが(実際にはこれは使用されず、商品化されたのが“とことこテリアモン”でした)、その聞く者を全て脱力させるインパクトは、私のテリアモンに対するイメージをややシフトさせるに充分でした。映画では健気なキャラクターだったテリアモンですが、テイマーズではややシニカルな部分も持ち、しかしどこか癒される様な、独特な感覚のキャラクターです。

テリアモン、そして後に述べるクルモンの存在を得られたのは、テイマーズというシリーズにとっては極めて幸運だったと思っています。
真面目に作っていくと、ともすればハードな展開一辺倒になってしまうところを、この二人(二体というべきなのでしょうが、書き終えた今は二人と呼びたい)のデジモンの、存在自体が一挙に場のムードを変えるキャラクター性で、随分と幅を作る事が出来たと思うのです。

テリアモンはスタッフにとにかく愛されたキャラクターでもありました。
私個人としても、3話の、ジェンとの対話のシーンなど、心に残っている場面が幾つもありますが、最終話の、グミモンに退化した時の「ジェン、モーマンタイ」とにっこり呼びかけるところは、抱きしめたい程に好きな場面です。