SHIBUMI 水野悟郎

第二部デジタル・ワールド篇は、目的が明確な、異世界への冒険。コンヴェンショナルなファンタシー的構成です。
ならば、そこには「導師」がいるだろう、と。
実は、SHIBUMIというブルーカードを流通させたトリック・スターは、23話で山木の部下(MIB)により、既に死亡しているという事実が知らされる――というストーリーだったのですが、どうしても「風」という挿入歌を終わりに流したくて、通常よりも短いシナリオにする必要があり、割愛していました。
結果として、タカト達の導師的な存在として、デジタル・ワールドにいるという流れに出来たのでした。
SHIBUMIのキャラクター像は、『神秘なる水世界』を執筆された、まさきひろさんが造形されたものです。飄々とした、人を喰った様なキャラクターは、実に現代の「導師」として得難いキャラクターとなりました。
まさきさんも私も、偶然に同じ俳優をモデルとして想定していました。それが、現代日本映画では欠かせない名バイプレイヤー、諏訪太朗さんだったのです。
私は、『Door3』『蛇女』という実写映画作品で、諏訪さんの演技により、私の脚本上のキャラクターを大いに膨らませて貰っていました。
中鶴勝祥氏に『Door3』のビデオを観て貰って、SHIBUMIのキャラクターを創ってもらいました。
キャスティングの小浜氏の尽力で、実際に諏訪さんにSHIBUMIを演じて貰える事になった時は、本当に嬉しかったです。
諏訪さんは当然アニメ作品のアフレコは未経験で、スタジオでは当初、かなり戸惑われていましたが、本当に人柄の良い“座長”さんだった、野沢雅子さんが助言をされていました。
最初はどうなるかと思ったけど、演じてきて面白くなってきました、と諏訪さんに言って貰えたのは、SHIBUMIが後半、レギュラーになってからの事です。