李 小春

ジェンには兄、姉、幼い妹がいます。小春をテイマーにしよう、という思惑は、シリーズ構成作業当初は無かったのですが、貝澤監督によるオープニングを完成試写で見て、小春までもがデジヴァイスを掲げて凛々しく描かれているのに驚きました。そして、自動的に小春はテイマーとなる展開になったのですが、後で貝澤監督に聞くと、「いやあれは、最終回の後の場面かもしれないし」と至ってお気楽に答えられました。

暫くして、小春のキャラクター表情集が中鶴勝祥氏によって描かれてきました。
ぬいぐるみのふりをしているテリアモンと小春の、まるでそれぞれが一コママンガ的なおかしみに満ちたイラストレーション。それが、何枚も何枚も。
アニメイトから、テイマーズのキャラクター設定集が発売されていますが、それにて幾つか見ることが出来ますので、機会あれば是非ご覧下さい。
聞くと、「描いてて止まらなくなった」のだそうでした。
ここまで描かれては、シナリオに反映させねば犯罪的だと思い、ライター陣と構成会議をしながら、隙あらば、小春とテリアモンのシーンを入れ込んでいきました。

小春が最も生き生きとしていたのは、言うまでもなく34話「小春 デジタルワールドへ」でした。
この回は、2000年春の「デジモンアドベンチャー02」映画で、テリアモン(とロップモン)に最初に命(言葉)を吹き込んだ、吉田玲子さんにゲストとして書いて戴いたエピソードでした。
吉田さんがシリーズ構成をされている「カスミン」(NHK)をお手伝いしたので、こちらでも、是非テリアモンをフィーチャーした回を書いて戴きたいと思った訳です。
小春とアンティラモンのやりとりは、吉田玲子さんでなければ書けない絶妙なテイストでした。