両親たち

子ども達の両親家族を、ここまで重きを置いたストーリーにしようと、最初から思っていた訳ではありませんでした。ただ、一年目の「アドベンチャー」お台場決戦篇で、ヤマトの両親らの描写に感銘を受けており、テイマーズでも、両親の在り方というものをきちんと提示する必要があるだろうとは考えていました。
7話「ギルモンが危ない! ぼくの街の冒険」で、タカトと両親の関係を(24話「デジタルワールドへ……旅立ちの日」の伏線として)やや丁寧めに描いたのですが、これがその後の流れを決めた様です。
ジェンの父親・鎮宇は、ストーリーの前史に当たる部分で活躍した人物であり、特別な位置にいます。それ以外の、タカトらの両親達については、あまり特殊な人にせず、実際に自分の子どもが大冒険を始めたら、どういう態度をとるのか――というところを描きたいと思いました。
ただ、これは非常に躊躇いながら進めていったところがあります。
ノーマルに考えれば、子ども達が命を賭した闘いを望む親などいる筈もありません。修羅場の様な場面ばかりが続いてしまう。
かと言って、親に黙って向かう子ども達を支持など絶対にしたくない。
それぞれの親の反応、子どもへの接し方に個性を出せたのは、言うまでもなく担当ライターの方々のお陰でした。
特に、樹莉の父親・肇を真正面から描いた47話「デュークモンを救え! グラニ緊急発進」の、まさきひろさんによるシナリオは素晴らしいものでした。私は肇を41話「帰還 リアルワールドへ!」にて、(一見)非常に冷酷な父親像として描いており、このフォローは終盤で短くするつもりだったのですが、それを大きく拡大し、ドラマの中心にして描かれたまさきさんの脚本には、心から感銘を受けたのです。