李 健良

タカトとは違うクラスの子。故にタカトは、ドラマのスタート時で知り合うので、「リー君」と呼びます。よって、番組開始時、健良の愛称は「リー君」として、出版物などに紹介されました。
健良を、タカトがどう呼ぶようになるかを決めたのは、二話でテリアモンに「ジェン」と呼ばせた時でした。
関プロデューサーは、帰国子女を想定していたのですが、中国と日本のハーフとしました。やはり、今は多くの小学校に、外国からの子どもが多く通っているという現実を踏まえた設定でした。
当初、私がジェンリャに託そうと思っていた役割は、「価値観の違い」でした。
子どもらしいタカトの、大事な事、信じている事。それらに対して違う観点をぶつける存在――。
これは、当初のテイマーの立ち位置関係に如実に現れています。
しかし、子ども同士は、すぐにその違いを乗り越えていくもの。
ジェン自身のテーマは、徐々に家族――、それはテリアモンも含め――、妹、母、そして父親とのドラマにシフトしていきます。

テイマーズは、一話一話で一つの事柄を消化させるのではない連続ドラマのスタイルで構成をしていました。
複数のキャラクター、事柄のエピソードが互い違いに平行して進行するというスタイルは、かつてアメリカでエミー賞を幾度も獲得した「L.A.LAW」に代表されるものです。
これを行うには、ライター同士が緊密に連携をしていかねばなりません。私が実際に自分の脚本を書かないブロックがありましたが、その間は、その調整に専念をしていました。
その幾つかの流れの中で、一番太くなっていったのが、ジェンと父親、鎮宇のドラマだった、と今になって思います。
最終話のジェンリャは、父親を許したジェンリャの顔は、本当に、輝いて見えました。

ジェンリャは、デジモンアドベンチャーでガブモンをレギュラーで演じられていた、山口眞弓さんが、ほぼストレートに決定していました。
とても希有な個性の声を持たれた俳優で、声変わり初期の少年を極めてナチュラルに演じられていたのが印象深いです。
また、例えば「デジヴァイス」といった、デジモン・シリーズ特有の言葉で、どうイントネーションをつけるのかといった事については、私や貝澤監督では判らないところも、デジモン・シリーズの“先輩”として、現場でフォローして貰っていました。